嫉妬なんかと一緒にするな|短編
大学1回生の冬に書いた小説です。
唯一慣れないのは、そういうものに悩まされている間、彼女の思考がそちらに支配されているということだ。許せない。せめて自分のいるうちは、自分のことだけを考えていてほしい。男が彼女の直面する問題をよく聞き、対処に全力を注ぐ動機のほとんどは独占欲だった。嫉妬心であった。
ざくり。食材に摩擦して包丁がなま板に落ちる。自分の偏屈さを自覚する。ざくり、ざくり、ざくり。こうしている間も、彼女はあのDM野郎のことを考えながら買い出しをしている。切る速度が、少し、速くなる。
0コメント